プラセボとノセボ

腰痛の方に「これは腰痛に良く効く薬です。」と聞かせて薬を飲んでもらうとたとえその薬の中身が小麦粉を固めたものだったとしても腰の痛みが楽になったりすることが知られています。

そしてこのような効果を「プラセボ効果」と言ったりします。
プラセボ効果は薬に例えられることが多いのですが、もちろん薬だけに限りません。

肩こりに効くというネックレス、骨盤矯正、マッサージ、鍼、飲むだけで免疫が高まると宣伝する健康食品などにもこのプラセボが働いていると考えられます。

これに対して「この薬は頭痛や倦怠感を引き起こす可能性があります。」と言って人に薬を飲ませると、たとえそれが身体に害の無いただの偽薬だったとしても症状を引き起こすような効果を「ノセボ効果」と言ったりします。

自分の症状をスマホやPCで検索し、調べていくと不安と一緒にどんどん症状が悪くなってきた気がする…。そんな「ノセボ効果」を経験をした方も多いのではないでしょうか。

私達の脳が今まで情報や経験したことを参考に常に次に起こる未来を予測していて、それによって身体の様々な機能に影響を与えています。

どんな人にもプラセボやノセボの効果を受けていますし、どんな施術にもこのプラセボやノセボの効果が含まれます。
以前から持つ印象、人から聞いた噂話、そのテクニックやその先生の印象など、未来予測を作るきっかけになる「情報」はプラセボやノセボに影響するということですね。

ところで、その「情報」は本人がプラセボに傾くなら嘘でも良いでしょうか。プラセボが働くとオピオイドやドーパミンといった脳内の神経伝達物質の働きで「痛み」も「気分」も良くなります(プラセボ鎮痛)。上手く利用することは良い事だと思いますが、「効果があるなら何でもいいじゃないか」という意見には反対です。

プラセボやノセボのような心理的効果が施術の中に含まれていることは認識しておくとして、その施術自体が科学的な根拠に基づいているのか。どのような作用メカニズムが効果を出しているのかを検討して、心理的作用と区別することは整体院などのお店を利用する方の身の安全を考える上でも大切に思います。

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