正中神経ってどんな神経?
正中神経は、
首の骨(頚椎)のあたりから出た神経の束が合流してつくられます。
専門的には、腕神経叢(わんしんけいそう) という神経の束を構成しているネットワークから生まれ、
- 第5〜第7頚神経(C5–C7)を中心に
- 場合によってはC8・T1も関与します
つまり、首・肩・腕へ向かう神経の線が行き交い、組み合わさる場所から
出ていると考えると分かりやすいです。
- 親指〜薬指の一部の感覚
- 指を曲げる動き
- つまむ・細かい作業
こうした働きに深く関わっています。
正中神経が圧迫を受ける部位
正中神経は手首の手根管で圧迫されることが有名ですが、それより上(肘より上)でも圧迫されうるポイントがあります。代表的なものを少し紹介します。
ストラターズ靭帯(Struthers’ ligament)
- 上腕骨(腕の骨)内側のやや上の方にある稀な靭帯です。
- 骨の突起(上顆突起)から靭帯が伸びていて、その下を正中神経や上腕動脈が通ります。
- ここで神経が締め付けられると、手や前腕に症状が出ます。
- 実際には1%未満の人がこの靭帯を持つと言われ、圧迫症状は比較的まれです。
どんな症状?
・上腕の内側〜肘周囲の違和感や痛み
・手や指にしびれやピリピリ感を感じること
・手指を動かしにくく感じること
上腕二頭筋腱膜(Lacertus fibrosus / 二頭筋腱膜)
- 上腕二頭筋腱膜(じょうわんにとうきんけんまく)は上腕二頭筋(力こぶの筋肉)の下にある膜状の腱です。
- 正中神経はこの膜のすぐ下を通って肘へ向かいます。
- ここの膜が厚くなる、緊張が強くなると、神経を圧迫することがあります。

どんな症状?
- 肘の前面の痛み
- 手指のしびれや動かしにくさ
- 前腕の筋肉の疲れや違和感
ただし、実際には、正中神経は上腕から手に向かう途中で、
いくつもの組織の下や間をくぐりながら走行しています。
たとえば、上から順に見ていくと、
- ストラターズ靭帯(上腕の内側にみられることがある靭帯様構造)
- 上腕二頭筋腱膜(力を入れて肘を曲げたときに張る膜)
- 円回内筋(前腕をひねる動きに関わる筋肉)
- 浅指屈筋腱弓(浅指屈筋の2つの筋頭が合流することでできる、弓状の通路)
- 手根管(手首で正中神経が通るトンネル)
- 深横中手靭帯(手のひら側で、指へ向かう神経や腱の動きを支える靭帯)
といった構造が、
正中神経の通り道に関わっています。
つまり正中神経は、
一本の長い道の途中で、いくつもの「狭い道」を通っています。
圧迫されるとどんな症状が出るの?
正中神経が圧迫されると、場所によって感覚と運動の症状が出ます。
感覚の症状
- 親指・人差し指・中指・薬指の掌側(手のひら)の一部に
- しびれ・ピリピリ感・鈍さ など
運動の症状
- 手首を曲げる力が弱くなる
- 指を曲げる力が弱くなる
- 指を巧みに使いにくくなる(つまむ動きが弱い、細かい動作が苦手)
※正中神経が枝分かれして作る前骨間神経(ぜんこっかんしんけい)が影響を受ける場合は、感覚が正常でも特定の指の筋力低下が出る場合があります。

※オーケーサインの時の〇が親指と人差し指でうまく作れなくなります。
このような変化がみられる場合は、専門の医療機関で、
神経の状態を一度しっかり確認してもらうことが勧められます。
すぐに手術が必要になるという意味ではありません。
ただ、状態を把握したうえで、その後の関わり方を考えていくことが大切だと考えます。
でも、「圧迫=必ず痛み」ではありません
神経が圧迫されているからといって、
必ず痛みやしびれが出るとは限りません。
また、はっきりとした圧迫が確認できなくても、
神経にストレスがかかる状況では、
症状が現れることがあります。
痛みは、脳を含む神経系がつくり出す「アウトプット」です。
体の中や外から入ってくる
- 触られた感覚
- 動かしたときの情報
- 過去の経験
- 不安や安心感
- 疲労やストレスの状態
こうしたさまざまな情報を脳が統合した結果として
はじめて「痛み」や「しびれ」として認識されます。
そのため、
- 同じように神経が圧迫されていても
→ 症状が出る人と、出ない人がいる - ある時期は症状が強く、
→ 別の時期には軽くなる
といったことが起こります。
また、「力が入りにくい感じ」があっても、
それが必ずしも神経が損傷しているサインとは限りません。
神経系が体を守ろうとして、出力を調整している場合もあります。
なぜ「検査では異常なし」と言われるのか
痛みやしびれ、「力が入りにくい感じ」があるのに、
病院で検査を受けると「特に異常はありません」と言われた。
そんな経験はありませんか?
これは、症状がウソだからでも気のせいだからでもありません。
検査が見ているのは「損傷したかどうか」
レントゲンやMRI、神経伝導検査などは、
- 神経が切れていないか
- 明らかにつぶれていないか
- 筋肉がはっきり萎縮していないか
といった
構造的な異常や重いダメージを見つけるのが得意です。
つまり、
「神経が完全に傷ついているか」
「明らかに機能が失われているか」を確認する検査です。
でも、神経系の働きはもっと繊細です
- 圧迫
- 摩擦
- 血流の低下
- 繰り返しのストレス
- 不安や緊張
- 過去の経験…
といった影響を受けると、
損傷していなくても「今はあまり働かないでおこう」
と出力を調整する可能性があります。
これは、体を守るための
防御的な反応です。
そのため、痛みが出る、しびれを感じる、力が入りにくく感じるといった症状があっても、
検査では「異常なし」となる可能性があります。
大切にしたい視点
「どこが圧迫されているか」を知ることは、とても重要な場合があります。
ただし、圧迫そのものが主な原因であり、明確な構造的問題が主体となっている場合には、
そもそも、徒手療法だけでその構造自体を変えることは難しいこともあります。
一方で、徒手療法は神経系の「働き方」や「感じ方」に変化をもたらす
きっかけを与えることはできます。
・神経が通る環境はどうなっているか
・神経にかかるストレスは減らせそうか
・神経系が「危険」ではなく「安心」を感じている状況か
こうした視点で体を見ていくと、これまで「検査では異常なし」と言われてきた症状にも、
少し違った意味が見えてくることがあります。
この他にも、気になる痛み・違和感のお悩みについてまとめています。
症状別ガイドのページはこちら
DNM(デルモニューロモジュレーティング)
DNM(デルモニューロモジュレーティング)は、疼痛科学、神経科学に基づく徒手療法です。
一方的に筋肉や関節といった組織を強く押したり、無理に引き伸ばしたりするのではなく、「対象の方の感覚を大切にしながら、相互的に優しく進めていく」という考え方を大切にしています。
- 「様子を見ましょう」と言われたが、不安が残っている方
- 画像では異常がないのに、違和感が続いている方
そうした方にとって、
疼痛科学・神経科学に基づいた徒手療法を検討する価値 は
十分にあると考えています。
DNMについて詳しいページがあります。
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根拠・情報源(リンク付き)
正中神経の解剖:
J J Wertsch, J Melvin.Median nerve anatomy and entrapment syndromes: a review
正中神経と二頭筋腱膜の絡みの解剖学的説明:
Madi El-Haj, et al.Median Nerve Compression in the Forearm
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