※注意が必要な場合について
肩こりの多くは、日常生活やからだの反応として起こるものですが、
まれに、別の疾患が関係している場合もあります。
たとえば、
頚椎の疾患、頭蓋内の疾患、高血圧症などが背景にある場合には、単なる肩こりとは異なる対応が必要になることがあります。痛みが急に強くなった場合や、しびれ・脱力・めまい・視野の異常などを伴う場合には、まず医療機関(整形外科・内科・脳神経外科など)での受診をおすすめします。
肩こりとは何でしょうか?
肩こりとは、首から肩、背中の上部にかけての
筋肉が緊張し、「重だるい」「張る」「こわばる」「痛い」
といった不快な感覚を感じる状態の総称です。
マッサージを受けてもすぐ戻る、
仕事や家事に集中できない――
そんな状態が続いている方も少なくありません。
医学的には特定の病名ではなく、姿勢の影響、長時間同じ姿勢を続けること、
目の使いすぎや精神的なストレスなどを背景に、
筋肉の緊張や血流の変化が起こることで
生じる症状として説明されることが多いです。
肩こりに関係するといわれる筋肉についての詳細はこちら
僧帽筋:
後頭部から背中上部・肩に広がる三角形の大きな筋肉です。上・中・下の3部構成で、肩甲骨の挙上(肩をすくめる動き)、内転(肩甲骨を背骨の方に寄せる動き)、下制(肩甲骨を床方向に下げる動き)といった動きに関わります。
この筋肉を支配しているのは、副神経(脳神経)、頚神経叢(C2-C4)という神経です。
頭半棘筋:
頸部から背部にかけての深層(横突棘筋群)に位置する太い筋で、主に下位頸椎〜上位胸椎の横突起から後頭骨(上項線と下項線間)へ走行します。頭部・頸部の後屈(伸展)、側屈、および反対側への回旋作用を持ち、姿勢保持や頭部の安定に不可欠な筋肉です。この筋肉を支配しているのは、脊髄神経後枝(C1〜T7)という神経です。
頭・頚板状筋:
首の後ろ側(項部)にある深層筋で、頭部と頚部を伸展(後ろにそらす)、側屈、同側回旋させる重要な筋肉です。僧帽筋の深層にあります。この筋肉を支配しているのは、頚神経後枝(C2-C5)という神経です。
肩甲挙筋:
頸椎(首)の側面から肩甲骨の上部をつなぐ、細長い深層筋です。主に肩甲骨の挙上(すくめる動作)と下方回旋、首の同側の側屈・回旋に作用し、デスクワークやスマホの長時間の使用により過緊張しやすいと言われています。
この筋肉を支配しているのは、肩甲背神経(C5)という神経です。
棘上筋:
肩甲骨の背側(棘上窩)から上腕骨の大結節に付着する、回旋筋腱板(かいせんきんけんばん:ローテーターカフ)を構成する深層の筋肉です。肩関節の外転(腕を真横に上げる動作)に機能します。この筋肉を支配しているのは、肩甲上神経(C4-C6)という神経です。
小菱形筋:
背部上部、僧帽筋の深層に位置する薄い菱形の筋肉です。肩甲骨の内転(内側への引き寄せ)、挙上(上方への引き上げ)、下方回旋に機能します。この筋肉を支配しているのは、肩甲背神経(C5)という神経です。
大菱形筋:
背中の上部、僧帽筋の深層に位置し、胸椎の棘突起から肩甲骨の内側縁にかけて走行する菱形の筋肉です。主に肩甲骨を内側(背骨側)に寄せる「内転」や「挙上(上方への引き上げ)」、「下方回旋」の作用を持ちます。この筋肉を支配しているのは、肩甲背神経(C5)という神経です。
これらの他にも関係する筋肉があると言われており、主としてこれらの筋肉が硬いことで、症状を出しているという見方が多いです。
一般的に説明される、肩こりの考え方についてお話ししましたが、
実際の臨床では、これだけでは説明しきれない肩こりに多く出会います。
「肩こり=筋肉が悪い」「姿勢が悪いから治らない」…本当にそうでしょうか?
肩こりについて説明を受けるとき、
- 「筋肉が硬くなっていますね」
- 「姿勢が悪いからですよ」
- 「矯正しないと良くなりません」
そんな言葉を聞いたことがある方は、とても多いと思います。
もちろん、筋肉や姿勢がまったく関係ないわけではありません。
ただ、それらだけを「原因」として考えてしまうと、体の仕組みを少し広い視点で見たときに、見落としてしまう部分が出てくることがあります。
このページでは、
- 肩こりを「感じているのはどこか」
- なぜ揉んでも、姿勢を正しても戻ってしまうことがあるのか
- 日常でお金をかけずにできること
- マッサージや整体との付き合い方
を、できるだけやさしく、正確にお伝えします。
肩こりは「筋肉の問題」だけではありません
肩こりというと、 「肩の筋肉が硬くなっている状態」と説明されることが多いですが、 肩こりそのものは、筋肉そのものではなく「脳が作り出している感覚体験」です。
痛みや不快感は、
- 皮膚・筋肉・筋膜・神経などの末梢からの入力
- 過去の経験や学習
- 感情(不安・恐怖・安心)
- 注意の向きや期待
- 環境や文脈(仕事中・休息中など)
といった複数の要素が統合され、脳内のネットワークで構成された結果として生じると考えられます。

つまり、肩こりのような不快感は、
姿勢や組織の状態だけで決まるのではなく、
脳が今の状況をどう受け取ったかによって
感じ方が変わる
と考えることができます。
もちろん、
- 筋肉の張り
- 長時間の同一姿勢
- 眼精疲労やストレス
といった要素は、脳に入力される材料の一部になります。
しかし、
筋肉が少し張っている = 必ず肩こりを感じるわけではありません。
同じ筋肉の状態でも、
- 安心しているとき
- 緊張や不安が強いとき
では、脳の活動が変わり、 肩こりの感じ方そのものが変化すると考えられます。
このため、 肩こりを理解するうえでは、
「どの組織が悪いか」ではなく、 「脳がどのような文脈でその情報を受け取っているか」
という視点も大切なように思います。
触れることの意味は「筋肉をほぐす」だけではない
施術で筋肉に触れる意味は、 単に「硬いところを柔らかくする」ことではありません。
そもそも、筋肉の表層には皮膚があり、
- 皮膚の感覚受容器
- 皮神経
が豊富に存在しています。
やさしい触刺激は、筋肉に触れる以前に皮膚を介して入力され
- 安全
- 受け入れられている
- 脅威ではない
という情報を中枢神経に伝えることができます。
一方で、
- 強く押す
- 我慢を前提にする
- 痛みを「効いている証拠」と扱う
こうした刺激は、 中枢神経にとって脅威情報になることがあります。その結果、 逃避反射として筋肉がさらに緊張したり、「この場所は危ない」という学習が強まってしまうこともあります。
強い刺激・無理なストレッチが逆効果になることも
「痛いけど効く気がする」 「イタ気持ちいいから大丈夫」そう感じることは珍しくありません。
ですが、
- 気持ちよかった=状態が良くなった
とは限りません。
実際、
- 神経を約15%以上伸張すると、神経内血流が大きく低下する
- 過度な伸張や圧迫が、神経にとってストレスになる
といった研究報告があります。
また、慢性的な痛みや不快感が続く状態では、 脳の灰白質量の変化が報告されている研究もあります。
(※この灰白質の減少は回復の余地がある変化として起こる脳の変化です。)
これは「揉んだから脳が減る」という単純な話ではありませんが、
「痛みや脅威を感じ続ける状態そのものが、中枢神経に影響を与える可能性」
が示唆されています。だからこそ、痛みを慢性化、複雑化させてしまう可能性のある、
繰り返しの強い刺激や痛みを与える刺激
が、必ずしも肩こりの「つらさ」を減らすとは言えないのです。
姿勢は「正しさ」より「楽さ」が大切です
姿勢も肩こりの原因と説明されることが多いですが、 神経科学的には、
その姿勢を中枢(脳や脊髄)がどう感じて、どう反応しているか
が非常に重要です。
同じ姿勢でも、
- 緊張している
- 余裕がある
では、肩こりの感じ方は変わります。
日常でできることとして、
- 肩甲骨を軽く背骨に寄せてみる
- 顎を少し引いて、頭が前に出すぎない位置を探す
- パソコンのモニター位置を調整する
といった工夫で、 「肩こりが楽に感じる時間」を増やすことができるかもしれません。
これらは、 お金をかけずにできる肩こりケアです。
「正しい姿勢」を作るよりも、
どの姿勢だと楽に感じるか
という視点で、 環境と身体をすり合わせてみてください。
マッサージ・揉みほぐしとの付き合い方
マッサージや揉みほぐしを否定したいわけではありません。
楽になることも、もちろんあります。
ただ、痛みを我慢するような強い刺激や、きつい刺激は、
身体にとって負担になることもあります。
強い刺激が加わると、
筋肉は「守ろう」として、かえって緊張しやすくなります。
その状態が続くと、
痛みや違和感が慢性化してしまうこともあります。
だから、
「強い刺激=根本的に良くなる」
「通い続けないと悪くなる」
と考える必要はありません。
肩こりは、
どんな刺激を受けているかだけでなく、
どんな感覚で日常を過ごしているかによっても変わります。
まずは、
・楽に感じる姿勢
・違和感が出にくい環境
から整えてみる。
それだけでも、肩こりが楽になる方は少なくありません。
接骨院と肩こり、保険について
日本の制度上、 肩こりそのものに健康保険は使えません。
接骨院で肩こりに対する施術を行う場合、 基本的には自費施術になります。
これは、
- 特別なことをしているから
- 高度な施術だから
というよりも、 制度上のルールによるものです。
その点も含めて、 納得した上で施術を受けていただくことが大切だと考えています。
あんのん接骨院の「やさしい整体」について
当院では、
- 静かな環境
- やさしいタッチ
- 感覚を確認しながら進める施術
を大切にしています。
施術は脅威になりうる刺激を与えて逃避反射を引き出さないこと。 中枢神経に「安全だ」と伝えること。
それが、 肩こりの「つらさの感じ方」を変える上で大切だと考えています。
肩こりで悩んでいても、
- 施術を受けなくても楽になる方
- 環境調整だけで十分な方
も、実際におられます。
それでも、
- 一人ではどうしていいか分からない
- 安心して身体を預けたい
そんなときに、 お手伝いできればと思っています。
このページを作成するにあたって参考にした研究・論文・書籍の詳細はこちら
※これらの研究は、特定の施術や結果を保証するものではありませんが、
痛みや違和感を理解する視点として参考にしています。
痛みは末梢からの情報だけではなく、脳内で統合・構成される主観的な体験という視点:
R Melzack.Pain and the neuromatrix in the brain
末梢神経を15% 伸ばすと、ほぼすべての血流が止まったという報告:
K Ogata, M Naito.Blood flow of peripheral nerve effects of dissection, stretching and compression
6%の伸張が1時間続くと、神経の働きは約30%も落ちる:
Michael Shacklock (著), 斎藤 昭彦 (翻訳)/クリニカルニューロダイナミクス
末梢神経に圧迫を加えると、神経内の血流が容易に阻害される可能性についての視点:
B Rydevik, G Lundborg, U BaggeEffects of graded compression on intraneural blood blow. An in vivo study on rabbit tibial nerve
慢性的な痛みを持つ人では、脳の前帯状皮質・島皮質・海馬といった場所の灰白質の減少が見られる:
Nicola Neumann et al. Chronic pain is associated with less grey matter volume in the anterior cingulum, anterior and posterior insula and hippocampus across three different chronic pain conditions 2023.
灰白質の減少は「変わらない固定的なダメージ」ではなく、回復の余地がある脳の変化:
Gwilym et al.Thalamic atrophy associated with painful osteoarthritis is reversible after joint replacement.2010.
あんのん接骨院の施術の考え方については
👉「はじめての方へ」も参考にしてみてください。
はじめての方へ―あんのん接骨院はこんなところ
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