「前かがみになると腰が痛い」
「脚にも痛みがあって、もしかしてヘルニアなのでは…」
そんな不安を感じて、このページにたどり着いた方もいらっしゃるかもしれません。
では、なぜ「ヘルニアがある」と言われても、痛みが出る人と出ない人がいるのでしょうか。
実際に病院を受診し、MRIやCT検査を受けた結果、
「椎間板ヘルニアがありますね」
と言われると、多くの方が一気に不安になります。
ですが実は、少し意外に感じるかもしれませんが、
ヘルニアが見つかっても、必ずしも痛みが出るわけではありません。
ヘルニアがあっても、痛みを感じずに生活している人がいることは、
近年の医学研究でも示されています。実際、私自身もその一人です。
椎間板ヘルニアは「無症状の人」にもよく見られる
画像検査についての有名な研究があります。
症状のない健康な人98名にMRI検査を行ったところ、
- 椎間板の膨隆(少なくとも1つのレベルで):52%
- 椎間板ヘルニア(突出(protrusion・extrusion)):27%
が見つかりました。
つまり、
「まったく痛みのない人」でも、画像上はヘルニアが珍しくない
という結果です。
参考:Jensen MC et al.Magnetic resonance imaging of the lumbar spine in people without back pain
年齢とともに増える「自然な変化」
2015年には、さらに大規模な研究が発表されています。
3,000人以上のMRIデータを解析した結果、
- 椎間板変性・膨隆・ヘルニアは
加齢とともに増える「ごく一般的な所見」 - 痛みの有無とは必ずしも一致しない
ことが示されました。
「脊椎変性の画像所見は、無症状の患者にも高頻度に認められ、加齢とともに増加します。画像所見に基づく変性所見の多くは、正常な老化現象の一部であり、疼痛とは関連がないと考えられます。」
引用:Brinjikji W et al.Systematic Literature Review of Imaging Features of Spinal Degeneration in Asymptomatic Populations
著者らは結論として、
“これらの画像所見は「正常な加齢変化の一部である可能性が高い」”
と述べています。
「神経が押されている=必ず痛い」ではない
以前は、「ヘルニアが神経を圧迫すると痛む」
と説明されることが多くありました。
しかし現在では、
- 神経が触れていても炎症が起きていない
- 神経が過敏になっていない
- 脳がそれを「危険」と判断していない
場合、痛みとして感じないことがあると考えられています。
つまり、
構造的な変化(ヘルニア)と、痛みの体験は別の次元の問題
という理解が広がっています。
痛みは「神経系全体の反応」
痛みは、
- 組織の状態
- 神経の興奮しやすさ
- 脳での予測や学習
- 過去の経験や不安
などが組み合わさって生じる、
非常に主観的で個人的な感覚です。
そのため、
- ヘルニアがあっても痛くない人
- 画像上は軽度でも強い痛みを感じる人
が存在することは、決して珍しくありません。
画像検査は「答え」ではなく「情報のひとつ」
MRIやレントゲンは、とても有用で大切な検査です。
ただし、
- 画像だけで痛みの原因を断定すること
- 「これが原因です」と決めつけること
は、現在では、慎重であるべきとされています。
国際的な腰痛ガイドラインでも、
画像所見と症状を切り離して考える重要性が繰り返し示されています。
「解剖学的および臨床的食い違いが頻繁に生じるため、国際ガイドラインでは、慢性LBPでレッドフラグがない場合に画像検査を行うことを推奨または反対する十分なエビデンスがないことに同意しています。」
引用:Vanina Nicol,et al. Chronic Low Back Pain: A Narrative Review of Recent International Guidelines for Diagnosis and Conservative Treatment
上記でも慢性腰痛では画像検査は重い病気が疑われるサインが無い場合は「必ずやるべき」と言えるほどの証拠も、
「絶対にやるな」と言えるほどの証拠もどちらも十分にはない、と中立的で慎重に表現しています。
「ヘルニアが治った」「手術せずに済んだ」は、特別な話ではありません
治療院や広告の紹介文で、
- 「ヘルニアが治った」
- 「手術をせずに済んだ」
といった表現を見ることがあります。
これを聞くと、
「本当なの?」
「誇張では?」
と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、ここまでお伝えしてきた考え方からすると、
こうした経過は決して不思議なことではありません。
痛みの改善=画像が完全に元に戻る、ではない
大切なのは、
痛みやしびれの改善と、
画像上のヘルニアが完全に消えることは、必ずしも一致しない
という点です。
神経の興奮や警戒が落ち着き、
身体が「危険ではない」と判断できるようになれば、
ヘルニアが残っていても、
症状が軽くなる・消えることは十分にあり得ます。
この場合、本人にとって
「ヘルニアが治った」と感じるのは、ごく自然なことです。
ヘルニアは自然に小さくなることもある
椎間板ヘルニアは、
- 時間の経過とともに
- 身体の自然な働きによって
小さくなったり、吸収されたりすることがある
ことも、医学的に知られています。
特に、突出が強いタイプのヘルニアほど
自然退縮が起こりやすいという報告もあります。
遊離したヘルニア(sequestration)では96%
突出したヘルニア(extrusion)では70%
膨隆のみ(bulge)では13%
といった割合でヘルニアが自然に縮小または消失することが確認されています。
参考:Chun-Chieh Chiu.The probability of spontaneous regression of lumbar herniated disc: a systematic review
そのため、
- 保存的に経過をみて症状が落ち着いた
- 手術を選択せずに日常生活へ戻れた
というケースは、医学的にも十分説明がつく経過です。
当院でも、同じような経過をたどる方はいます
あんのん接骨院にも、
- ヘルニアと診断され、不安を抱えて来院された方
- 手術以外の選択肢を探しておられた方
が来られます。
もちろん、すべての方が同じ経過をたどるわけではありません。
そして医療機関での評価や対応が必要な場合もあります。
ただ、
神経の過敏さが落ち着き、
身体の反応が変わっていくことで、
痛みや不安が軽くなっていくケースは決して珍しくありません。
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これは当院に限らず、
他の治療院や医療現場でも起こり得る、自然な経過だと考えています。
慢性腰痛や坐骨神経痛は、
骨や椎間板といった構造の変化だけで説明することが難しい場合もあります。
実際には、神経の敏感さや反応の仕方といった
神経系の状態が関係していることも少なくありません。
その全体像については、こちらでまとめています。
「治った」「手術しなくてよかった」をどう捉えるか
大切なのは、誰かの体験を過度に特別視しないこと。
また、多くの広告に「必ず同じ結果になる」と期待しすぎないことだと思います。
同時に、「ヘルニアがある=必ず手術が必要」といった考え方や「良くなったら奇跡」
という考え方も、現在までの研究の結果と少し距離があるのかなと思います。
まとめますと、ヘルニアは、痛みのない人にもよく見られ、画像上の変化があっても痛みの原因とは限らない。
痛みは神経系全体の反応として生じ、手術せずに経過が良くなるケースは、珍しくないということです。
関連するおすすめ記事:坐骨神経と坐骨神経痛
あんのん接骨院の考え方
当院では、
「治ります」と断定したり、
痛みの原因を一つに決めつけたりはしません。
その代わり、
どのような刺激が身体に入ると、神経系がどう受け取り、
その結果として身体がどんな反応(緩む・動きやすくなる・安心するなど)を示すのかを大切にしています。
触れたときの感覚、動いたときの感覚、施術中や施術後の変化を、
あなたと一緒に確かめながら、
神経が過剰に警戒せずにすむ刺激の“量”や“質”を選んでいきます。
こうした関わりを通して、
神経系が「ここは安全だ」と感じやすい状態をつくり、
身体が回復に向かいやすい環境を整えることを大切にしています。
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