痛みの定義

私達が経験する身近な「痛み」ですが、国際疼痛学会によって定義されていることをご存じでしょうか。

痛みの定義(国際疼痛学会)
国際疼痛学会が発表した痛みの定義には以下のように書かれています。
「実際のまたは潜在的な組織損傷に関連する、またはそれに関連する不快な感覚的および感情的経験」

痛みは「ケガをしていても、ケガをしていなくても感じる不快な経験ですよ」というこの定義が表している部分は少し意外に感じる方が多いのではないでしょうか。
また、身体に加わる刺激だけで痛みが決定づけられる訳ではなく、心理的、社会的な要素も痛みを作っています。色々な要素で作られているのが「痛み」なのですね。また、上記に続き以下の6つの注記があります。

  • 痛みは常に個人的な経験であり、生物学的、心理的、社会的要因によってさまざまな程度の影響を受けます。
  • 痛みと侵害受容は別の現象です。痛みは、感覚ニューロンの活動だけから推測することはできません。
  • 人生経験を通じて、人は痛みの概念を学びます。
  • 痛みとしての経験についての個人の報告は尊重されるべきです。
  • 痛みは通常、適応的な役割を果たしますが、機能や社会的および心理的健康に悪影響を与える可能性があります。
  • 言葉による説明は、痛みを表現するためのいくつかの行動のうちの 1 つにすぎません。コミュニケーションが取れないからといって、人間や人間以外の動物が痛みを経験する可能性が否定されるわけではありません。
    引用:IASP国際疼痛学会HP

レントゲンや画像検査で写し出される身体の構造の変化は痛みの原因を必ずしも表している訳ではありません。身体の構造に変化が認められなくても痛みが表れることも、当然起こりうる現象だということが分かります。

痛みはとても複雑なもの。そして他人には理解ができないものです。

「私の方が重症だったのに、平気で働いていた」

「そんなケガくらい大した事はない」

「痛い痛いと大げさだ」

といったように痛みの訴えが無視され、傷つけられるケースは意外と多いものではないでしょうか。

「痛み」は本人にしか分からない「極めて個人的な経験」です。
今の社会構造がそれを認める事を許さないのかも知れませんが…。そもそも「痛みがどういったものなのか」を知る人が多くなれば、家庭や職場、様々な場面で痛みを訴える人への対応も多少変わるのではないかと思います。

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