姿勢が悪いと痛む?

専門家に身体をみてもらった先で「腰痛になったのは姿勢が悪いから」「腰痛になったのは骨盤が歪んでいたから」と説明されることも少なく無いのではないでしょうか。

例えば、痛みがあると体が自然に筋肉を収縮させて痛みがある部分に負担がかからないようにする防御機能が働きます。この自動的な防御機能は「防御性収縮」などで呼ばれます。
痛くて治療院へ行った時に姿勢を後ろから見てもらい「骨盤が歪んでますね」「右肩が下がっていますね」「だからこの筋肉が硬くなるんです」なんて言われると、あたかも姿勢や筋肉が原因で痛みが発生している気がしますが、実際には「姿勢が悪いから痛む」というよりも「痛いから歪んでいる」 可能性を考えなければいけません。自分が痛みと認めるレベルでなくとも、体が「危険」と判断した刺激(侵害受容刺激)があった場合には自動的にその防御機能が発動しています。

なので、痛みや違和感がある時には姿勢の左右差を改善させる事に焦点を置いた取り組みよりも、その痛みを改善させる積極的な取り組みが特に大切だと思います。
実は患者さんの「痛む」「嫌な感じがする・・・」などの「感覚」に沿ったアプローチがなんと言っても大切だと思っています。
実際に痛みや違和感の改善と共にギックリ腰などでみられる側湾が改善したりしますし、肩こりが改善することで肩の位置が変化します。街中で「歪み」と呼ばれるものの正体の多くが「身体の防御機能が発動している結果」のような気がしています。
ここからは想像してもらいたいのですが、そういった痛みが状態にあるときに、痛い、刺激的な治療や強いストレッチが行われることがあります。これらの施術でもたらされる一時的な改善は別の理論で説明がつくのですが、痛みがある場合にこれらの刺激を加える事がその後、慢性痛を長引かせる可能性を高めたりします。
ならば防御機能を発動させてしまう、副作用を含んだ一時的な改善の方法よりも、やさしいアプローチで防御機能を減弱させ、効果が長持ちする可能性のある安全な方法を選んだ方が患者さんにとって良いのでは?と常々考えています。

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