肩関節の関節包(かたかんせつのかんせつほう)

関節包という関節を包む組織があります。肩関節周囲炎(五十肩・四十肩)などで、炎症が起こる部位としてこの肩関節包は有名です。当然、関節包にWi-FiやBluetoothが内蔵されているかのごとく、この関節包自体から直接脳に関節包の今の状況を伝える手段はありません。
もちろん、関節包にも神経がつながっていて、この「神経」が関節包の状況を脳に伝えています。

例えば、肩関節周囲に分布する神経として肩甲上神経(けんこうじょうしんけい)があります。
棘上筋(きょくじょうきん)や棘下筋(きょくかきん)につながる神経です。この棘上筋や棘下筋に接続される途中に枝を出して肩関節包の後面にもつながっていると考えられています。
肩甲下神経(けんこうかしんけい)は大円筋(だいえんきん)や肩甲下筋(けんこうかきん)といった筋肉につながる神経ですが、途中で枝を出してやはり肩関節包の前面につながります。
腋窩神経(えきかしんけい)は小円筋(しょうえんきん)や三角筋(さんかくきん)といった筋肉につながる神経ですが、この神経も途中で枝を出して肩関節包の下面につながると考えられています。

こうして見てみると、肩の関節包って色んな神経がつながっていますね。
ここで「そうか、関節包に分布する神経が障害されるから痛みがでるのか!」と端的に結論してしまいそうになるのですが、「痛み」は侵害受容性疼痛(しんがいじゅようせいとうつう)・神経障害性疼痛(しんけいしょうがいせいとうつう)・痛覚変調性疼痛(つうかくへんちょうせいとうつう)の3つが混ざりあったものと考えられていたり、生物的・心理的・社会的要素が混ざりあった「複雑」なものと考えられていたりします。
「神経が何かに障害された、だから痛む」といった単純なものではないのが「痛み」という感覚だということを忘れてしまうと「痛みは組織の問題だ」「原因となる組織の問題さえ解決すれば痛みが良くなるんだ」「肩関節の歪みがなくなれば痛みも無くなるんだ」とこれまた端的に考えてしまうことになりかねないと考えています。
確か、脳で様々な神経から送られてきた信号が統合され、出力された結果が「痛み」なのでした。
痛みって本当に複雑ですよね。

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