神経と免疫がつながっていることを示した最近の研究
神経と免疫がつながっていることを示した最近の研究
私たちは普段、
「皮膚は皮膚」
「肺は肺」
「心臓は心臓」
というように、それぞれの器官が別々に働いているように感じるかもしれません。
しかし実際の身体では、神経や免疫などを介して、離れた場所がお互いに影響し合っています。
皮膚と内臓も、まったく無関係というわけではありません。
最近、個人的に興味深い研究が発表されました。
それは、耳の皮膚に分布する神経を刺激すると、肺で起きていたアレルギー性炎症が抑えられたという研究です。
研究では、マウスの耳の皮膚に分布する迷走神経の感覚線維を、実験的な方法で活性化しました。
すると、気道でCGRPβという神経由来の物質が増加し、アレルギー性の炎症反応が抑えられました。
流れを簡単にすると、
耳の迷走神経感覚線維を実験的に活性化
↓
気道でCGRPβが増加
↓
アレルギー性炎症が抑えられる
という反応です。
この研究によって、耳の皮膚への感覚入力が神経を介して肺の免疫反応に影響する、これまで知られていなかった「皮膚―肺の神経免疫反射」が存在する可能性が示されました。
ただし、大切な注意点があります。
この研究は、マウスを用いて行われた基礎研究です。
人の耳を触ったり刺激したりすれば、喘息や肺の炎症が改善するという意味ではありません。
また、今回用いられたのは、普通に皮膚を触る方法ではなく、特定の神経線維を実験的に活性化する方法です。
そのため、この結果をそのまま徒手療法や、人の症状への施術に当てはめることはできません。
手で皮膚に触れる刺激が、神経や免疫に関係する身体の反応に影響する可能性については、これまでにも研究されています。
ただし、今回示されたような「耳の感覚神経から肺の免疫反応へ働く仕組み」が、徒手療法でも同じように起こるかどうかは分かっていません。
それでも、皮膚に分布する感覚神経への入力が、離れた肺の免疫反応を変化させたという点は、とても興味深く感じました。
「皮膚は、ただ身体を覆っているだけのカバーではない」
そのことを改めて感じさせてくれる、興味深い研究でした。
今後、皮膚へのさまざまな刺激と、神経や免疫との関係がさらに明らかになっていくと面白いですね。

