「そこをもっと強く押してほしい!」
マッサージを受けていると、ついそう言いたくなることはありませんか?
「強く押された方が効いている感じがする」「痛いけど気持ちいい」──そんな感覚は多くの人が経験しています。
しかし最近では、医学的な研究や多くの専門家の意見から、過度に強い刺激を身体に与えることが、かえって筋肉や神経を傷め、慢性的なコリや痛みを悪化させる可能性が指摘されています。
では、なぜ私たちはそれでも「強い刺激」を求めてしまうのでしょうか?
強い刺激が「気持ちいい」と感じる脳の仕組み
痛みや強い刺激を受けたとき、脳の中では「ドーパミン」という神経伝達物質が分泌されます。
このドーパミンは、報酬や快感を感じる神経回路(報酬系)を活性化させ、「もっとやりたい!」という気持ちを起こします。
SNSで「いいね!」がついたときや、買い物・ギャンブルなどで興奮する瞬間にもドーパミンが関与しています。
つまり、「痛いけど気持ちいい」という感覚は、脳がドーパミンを放出して「報酬」として学習している状態なのです。
この快感は一時的なもので、繰り返すほど強い刺激を求めやすくなる傾向があります。
一方で、筋肉や神経への物理的な負担は少しずつ蓄積し、神経系は「守るために硬くなる」防御反応を強めていきます。
「筋肉が硬い=悪い」ではなく「防御反応」なのかもしれません
筋肉が硬くなるのは、単に使いすぎだけでなく、身体が神経や関節を守ろうとする自然な防御反応のひとつでもあります。
たとえば強く押されたり、叩かれたりすると、身体は「これ以上傷つけられたくない」と感じて、筋肉を緊張させて防御します。
このような緊張が続くと、結果的に「こり」として感じられることになります。
つまり、強く押すことで一時的に軽くなっても、またすぐに硬くなる──これは身体が「防御反応」を強化しているサインかもしれません。
強い刺激をやめることが「リセット」になる
強い刺激で快感を感じる脳の報酬回路を落ち着かせ、身体の防御反応を鎮めるためには、まずその刺激から離れることが大切です。
言い換えれば、「痛気持ちいい施術」からしばらく距離を置くことで、脳と身体の関係を“通常運転”に戻すことができます。
これは、壊れた水道管から水が漏れているときに、濡れた床をモップで拭き続けるようなものです。
原因を止めないまま対処しても、根本的な解決にはつながりません。
肩こりの改善に「強い刺激」は必要ありません
最新の痛み科学や神経生理学の研究では、軽いタッチや穏やかな刺激でも十分に神経系へ良い影響を与えられることがわかっています。
皮膚や浅い組織には、触れられることで安心感や落ち着きをもたらす神経(※CT線維)や、姿勢などに関わる受容器(※ルフィニ終末)などが存在します。優しい刺激でこれらが活性化すると、副交感神経が働いて血流が改善し、筋肉の緊張も自然に緩んでいきます。
※ルフィニ終末は「身体がどんな方向に傾いているか」「どの部分に張力がかかっているか」「重力に対してどう支えているか」などの身体の位置感覚(ボディマップ)を、脳が更新する手助けをしています。
※CT線維は情動的な触覚(心地よい触覚)を伝えています。
身体に「やさしく触れる勇気」を
「強く押されないと効かない」という思い込みは、脳の“ドーパミンのいたずら”かもしれません。
本当に身体が求めているのは「安心できる刺激」や「安全な接触」なはずです。
肩こりを改善するには、強い力ではなく、神経を安心させるような穏やかな刺激が効果的です。
身体の声に耳を傾け、やさしくケアしてあげましょう。
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