トリガーポイントの正体は神経のはたらきで説明できる?
長いあいだ、「筋肉のしこり(トリガーポイント)が痛みの原因」と言われてきました。
しかし、近年の研究では、筋肉そのものよりも神経のはたらきが関係している可能性が高いことが
わかってきています。今回は、その「神経の視点」から、トリガーポイント現象をやさしく説明してみたいと思います。
70年近く前の理論であるトリガーポイント理論とその課題
トリガーポイント(Trigger Point:TrP)とは、「筋肉に硬いしこりができ、押すと離れた場所まで痛みが広がる」という考え方です。Travellというお医者さんが1952年に作った、70年近く前の理論です。
この理論は長年、臨床の現場で使われてきましたが「そのしこりが実際にどんな構造なのか」については、医学的な裏づけが見つかっていません。
実際、調べてみても「トリガーポイントという特別な構造物」は確認されていません。
そのため、「なぜ押すと痛みが広がるのか」という現象は、別の仕組みで説明し直す必要があると考えられています。
神経が関わる2つの痛みのタイプ
Quintner JL, Bove GM, Cohen ML. A critical evaluation of the trigger point phenomenon. Rheumatology. 2015.の論文では、神経が関係する痛みには次の2種類があるとされています。
- 神経幹痛(nerve trunk pain)
→ 神経を包む膜(神経内膜・神経周膜・神経上膜)にある痛みを感じるセンサー(nervi nervorum)が刺激されて起こる痛み。
→ 「ズーンとした」「押すと痛い」「鈍く重い」などの感覚。 - 異常感覚痛(dysesthetic pain)
→ 神経の中(軸索)が傷ついたり、異常な信号を出したりして起こる痛み。
→ 「焼けるような」「ピリピリ」「電気が走る」などの感覚。
このように、神経の周囲や内部の変化によっても、よく聞く事のある「筋肉の痛み」とよく似た症状が起こる可能性があります。
※Epi-Perineurial Anatomy, Innervation, and Axonal Pathology: The Basis of Nerve Trunk Pain(G. Bove 他, 2008年)の論文の中で「神経幹痛は、神経を包む膜の中にある nervi nervorum(神経の神経)という小さな神経線維が、機械的・化学的刺激を感じて痛み信号を出すことによって媒介される可能性がある」という記述があります。
トリガーポイントの正体は?
これらのことから、「トリガーポイントの正体は筋肉そのものではなく、神経が過敏になった状態(神経幹痛)」で説明できる可能性があります。
つまり、痛みの原因は「筋肉のコリ」ではなく、
- 神経が刺激される
- 反射的に筋肉が一部だけ緊張する
- その結果、硬さや痛みを“しこり”として感じる
という流れで起こっているかもしれないのです。
強く押すほど良い、は本当?
よく「テニスボールでしこりを押すとほぐれる」と言われますが、
もしその“しこり”が神経の過敏さから起きているのなら、強く押すことは逆効果になることもあります。
神経はとてもデリケートで、強い圧や刺激によってさらに興奮してしまうことがあります。
末梢神経だけでなく、脳や脊髄などの中枢神経でも興奮が高まる(中枢性感作)可能性があります。
つまり、「強く押して効かせる」よりも、「静かに落ち着かせる」方が理にかなっているのです。
やさしく神経にアプローチするDNM(Dermo Neuro Modulating)
DNMは、皮膚を通じて神経にやさしく働きかける徒手療法です。
皮膚の下には「皮神経」という細い神経が張りめぐらされており、これらは体の感覚を脳へ伝えるセンサーのような役割をしています。
DNMではこの皮神経をやさしく刺激し、脳を含む神経系の興奮を落ち着かせることを目的としています。
その結果、
- 神経の過敏さを鎮める
- 筋肉の反射的な緊張をゆるめる
- 痛みの悪循環を断ち切る
といった変化が起こることが期待できます。
注意!こんな場合、まずは医療機関での確認を
この理論は「神経の働きによる痛み」を説明するものであり、
臓器の病気や炎症などの器質的疾患を否定するものではありません。
次のような症状がある場合は、必ず医療機関での検査をおすすめします。
- 強い腹痛や発熱
- 血尿、排尿困難
- 原因不明の体重減少
- 内臓の病気が疑われる場合
安全に施術を受けていただくためにも、まず原因をしっかり確認しておくことが大切です。
これからの痛みへの対処は「やさしく」が標準?
「筋肉のコリだから、しっかり揉みほぐせば治る」と考えられてきた痛みやコリも、
沢山の研究のおかげで神経の仕組みによって説明でき、神経の働きに沿って身体に負担を与えることなく解消できることが増えてきました。もしかすると、「やさしく神経を落ち着かせる」アプローチがこれからの時代の標準になるかもしれません。
やさしく神経にアプローチしませんか?
施術に使われる強い刺激は「安心の信号」を伝えられないことと「危険な信号」を伝えて神経を警戒させ過敏な状況にさせてしまいます。結果的に改善を妨げてしまう可能性もあります。
神経へのケアは強い刺激ではなく、神経が安心できるやさしいアプローチが効果的でおすすめです。
たとえば、京都・西院の「あんのん接骨院」で行っているDNM(Dermo Neuro Modulating)は、「もう大丈夫。安心してね。」と神経系に伝えてあげるような方法です。
繰り返す痛みが気になっておられる方にも、相性がいい徒手療法です。何だか調子が悪いなぁ…といったお体の箇所でお悩みをお持ちの方、是非あんのん接骨院でDNMをお試し下さい!
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